いくらか反射する水。終わりのあとで/岩下こずえ
 
と、わざとらしくあるほかなかった
外をあたえた
あなたでないわたしを穿ってその孔から
呼吸だけ、していてほしかった
ゆくあても示せず
なんの約束もないくせに
小指だけ、もっとしなやかだった
べつの小指とひっかけてあるく記憶は
たしか
少女に似ていた、と思う。
なれなかったんだ、あなたに
わたしは
「識別してるよ。はじめから、あなたを
「おなじ言葉、かえしたらどうなる?
どうにもならない

けいぞくする
わたしたちの見わけはつかない
あなたは手のくるぶしをよけいにとがらせ
漏れいるひかりを
つかむそぶりをひるがえしたあと
おびただしいだれかとおなじように、くりかえし
ちいさく前髪をかきわけ
ひとみを乾かせる
雨あがりにしずく降らすハルニレの樹の
うろの目に
わたしたちの公園は
うずをまいて
下水する



戻る   Point(7)