裏顔/かのこ
カーテンが光を帯び始めて
うす暗闇に慣れた目が
平たくなってくる
今朝の五時頃
半身を起こすと、目の前の壁に
ぬりかべみたく、だれか胴が貼り付いていた
気が付くと、部屋の戸の前にも
髪の長い女が立っていた
すぐ傍らにある椅子の上に
また髪の長い首がいた
机の下に何者かがひそんでいるのも
なぜかその時の僕にはわかった
低い天井から
首がぶらさがっていた
沈黙を守りながら、彼らは
口を開くと、一緒に歌を口ずさんでくれた
部屋の外では
何の話がされているのだろうか
ニュースのネタか、遺書か、僕の悪口か
眠るというのは
此処にシャットアウトの意
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