まるで他人事のように自分の冥福を祈る/ホロウ・シカエルボク
崩落した記憶は
心の底に蓄積するままにしておけ
無理に掘り出そうとしても
指先を傷つけるだけ
荒れた舌のような色の夕焼けを見た日に
幾つかの欠片が取り戻せないところまで砕ける音を聞いた
夕飯のときにほんの少しだけ呆ける時間があったのは
無意識にそいつらを弔っていたからだよ
九月の夜がカーテンにべっとりと貼りついている
重病人が喀血した取り返しのつかないほど深いところの血みたいにべっとりと
それはある種の感情を黒目に植え付けるが
場所が場所だけに放っといてもくり抜いても確認なんか出来ないのだ
遠い街の火事のニュース
若い
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