幼馴染/薬堂氷太
初めて貰った時は戸惑いました
「何かしら言わなくては」という責任感で
僕の肌にまとわる空気が ぴしゃり と音を立てて緊張したのを覚えています。
何時も胎の底に すとん と落ちて気分をなだめる煙草の煙も
だんだん胸を押し殺す病の味に変わってゆき
僕は貴方の前で初めて
相槌しか打てない木偶の棒になりました。
今にも雨が降りそうな曇天からは 人を吸い込み攫ってゆきそうな光の柱が一つだけ降りています
地上と空を結ぶ絆の様な柱
今思うと それが壊れるのを 僕は恐れていたのかもしれません
その脆弱な朝の光が 脆弱な僕に同調するように照らします
嗚呼
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)