冬の ハヤブサ /藤鈴呼
 
最後に続く 黒丸の群れは
猫の落とした 不思議な能力

にゃあ でも
にゃにゃあ でも
にゃあにゃあ でも ない

聞き取れぬ程の 呟きと
爪に残された 皮膚片で
ご主人様を 特定するのです

何時までも 垂れ流しにする
如雨露の水

何処に 根を張っているのか
張っているのは 気の持ちようか
痛む肩へ そっと置く 湿布か

考えても 考えても
くるくる巡る感情は
応えを 知らない

喉が渇いた と 揺れた気がして
水を与えた

与えた
お前の為に
してやった

してやったり の
ニヒルな笑みとは 
違う 微笑み

上からは 分から
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