ぺピータ・ベーチョの或る日/
salco
猫がふと
ベッドの上に端座して
スピーカーから流れる
フランソワーズ・アルディに耳を立て
神妙な顔で聴き入っている
「私の青春は去ってしまった…」
猫にもアンニュイがあるのだろうか
猫も回想に浸る事があるのだろうか
この藤猫の鉄火ぶりに
南米風の名を付けていたけれど
あんがい前世はフランスの
お針子だったのかも知れない
近頃おずおずと
不本意ながらと言いたげに
私に甘えて来るからな
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