想像上の動脈/北街かな
今日の天気も錆の雨だ。
地下室の階段をのぼっていくと明るい外に出るんだけど、外は相変わらず物静かで動くものすらあんまりない。建物はそこらじゅうにあるけど、かろうじて残された階層に意味のあるカタマリは置かれていない。壁がちゃんとついているだけでましなくらいだ。崩れたり、骨組みしか残っていないやつばっかりなんだ。
ギィギィとゆっくり、朝のお散歩をしていたら僕のお尻のネジがとれかけて左足が前に出なくなったので、ああいけないと右手のフックでキュッキュと締めなおした。頭のうえからざりざりぱらぱら音がしたので見上げると、やっぱり錆の雨が降っていた。僕はぼんやりとくちを開けて、その赤い細かな欠片を食べる。
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