黄色いラジオ/YAMATOMO
ぐるんぐるんと取っ手を回せば充電できる黄色いラジオを見つめながら
本当に聞けるのかどうか
ぐるんぐるん 回したら思いのほか音がけたたましくて
隣の兄貴がなにしてるんだって言ってきた
なんでもないよなんでもないよ
なんでもないわけないだろう。ぼけと俺は五秒前の自分に突っ込みをいれたかった
やっぱり俺の相方は俺自身しかいないんじゃないかと思う
『被災地に送る奴』と書かれたダンボールにラジオを放り込み
部屋をボーっと見渡すと
いささか、大掃除の装いを見せ始めたのは
時計が午後から午前に変ったからだろうか
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