熊(仮)/はるな
 

絵具なら白
鉛筆なら2B
くつ下は紺
クロゼットの右側の
黒い服ばかり選んで
同じような詩ばかり書いている
実在か
あるいは不在についての
あなたのような
わたしについての
同じような詩を何百も書いて

身体の一角が、
どれだけ擦っても減らないです
似たような感情ばかり燃やしてきたはずなのに
触れないところばかりが
炭みたいに燻っては
どれだけ白をつかっても
そのため部屋は灰色です

いつまでたっても減らないで寒いわたしはうつむいて
やわらかくほぐした意味たちを
熊のかたちに編んでいるから
なにかが
できあがるまえに
だらしなく伸びた後ろ髪を切らなくちゃ
いけないのに




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