ワレモノワレワレ (生体反応の設計)/乾 加津也
 
我々はこまかい罅を 感じている
誰にもある
あかるい三月の路上で
したたるような朝がまぶたをひらいた
我々がおもえば
頑固な落葉松の ひきしまった松根の一本や二本
適度なふかみの罅がはいる
 企業? 国家?
そうだ 秘密結社
 合言葉は
ワレ・モノ・ワレ・ワレ
うっすらとした罅によって我々はワレモノなのであって
それは 半月の晩に交わされた会話
「もしもし われわれはワレモノです」
「そうですか ワタシもアナタも遠のく わけだ」
割れた縄文式土器
割れた真空管
割れた生卵に
割れた茶碗
 はぁ きどった集合体
 えへへ いじらしい文明
ゆえに われもワレな
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