心からお悔やみ申し上げます/川上凌
 
いような生き物であり、
まさにその歌のとおりだった。

流されていくうんこをみて、
また物悲しいような気分になった。
ボクサーパンツをあげて、スウェットを引き上げた。

テレビをつけると、有名人が亡くなったらしい。
「心からお悔やみ申し上げます」と若い女のアナウンサーが口の端に
僅かに微笑みをたたえて言っていた。彼女が悲しんでいないことは確かだった。

ああめんどくせ。
虚無感だ。
腹からうんこがいなくなってしまったからなのか、
それとも僕がうんこだからなのか。
どちらにせよ、電波の箱の中にいる彼女は僕の人生を見て、
まったくの第三者、つまり他人の位置から言うだろう。


「心からお悔やみ申し上げます」









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