口実ドレミ/草野春心
 


  銀色の時計を巻く
  なにかの口実みたいに
  夏が秋に変わったことに
  驚いたようなふりをし
  やがて 歌、うたい
  ドレミもわからないくせに
  唐変木
  素っ頓狂
  まったくの馬鹿
  ぼくはたべる、なにかの口実みたいに
  ぼくははなす、なにかの口実みたいに
  ぼくはぼくだ、なにかの口実みたいに
  秋の湛える光は亜麻色に薄暗い
  せつない場所をいくつも通りぬけて
  きっとここに届いたのだろう




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