彼岸花/八男(はちおとこ)
中庭に迷い込んできた彼岸花が一輪だけ咲いている
とても貴重に映り 華やかな感じがするが
当人(花)は場違いなところに来てしまったと
恥ずかしい思いをしているかもしれない
はるばる中華街まで会いに行った友達を笑かそうと
女装で向かったら 笑ってもらえなくて
いいから 早く着替えてと
あんなに悲しいパンストの脱ぎ方はない
しかし私などましなほうだ
花は 何より 咲いてしまっている
取り返しがつかない
どれだけ さぶかろうが(なんかすんごい・・やる・・きれない・・きんもちだろうが)
枯れるまで 咲き切るしかないのだ
そんな 彼岸花に 愛しさ いじらしさを感じ
なでなでしていたら
茎が折れてしまった
ポッキン
きっと そんな音がしたと思う
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