逆立ちで、歩こう/まーつん
 

今や人々はバラバラと
奈落の空に墜ちていく、か
手近にあった手掛かりに
幸運にもしがみ付いている
足をばたつかせながら

カラスが一羽バタバタと
騒々しく鳴きわめきながら
僕に向かって訴える


やいやい
なんてことしやがる
てめえの世界を引っくり返して
何が面白いってんだ おい

さっさと元に戻しやがれ
松の木の天辺に構えた
俺の巣が台無しじゃねえか ゛

僕は朗らかに言い返す


この世界が
僕のものだったことなんて
ただの一度もありはしない

この世界が
僕を愛してくれたことなんて
長い蔑みの間に起きた
短い気まぐれみたいなも
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