ソウル・ナイト2/御笠川マコト
 
妙に湿度が高い9月の夜
女のように鏡に向かい
毛抜きで眉を整えている

雑音混じりのエフエム
レイ・チャールズをカバーした
女の唄声は錆色にけだるい

重たそうに塗られた睫毛と
熟れた無花果みたいな唇に
誘われてごらんよ

ラジオが部屋に放つ臭いは
黴臭く
出番を待つストリッパーの
楽屋が目に浮かぶけれど
俺はやっぱり
女のように鏡に向かって
くすんだ毛穴を見つめている
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