プロミネンス/壮佑
 
お前は廃棄された黒い砂漠に欲情したか?
俺は疾走する光の森から滴り落ちる樹液に
眠りのように溶けてゆく都市を舌で愛撫した
あしたお前は海縁に立つ暗い工場の
砕けたセラミクスと精密機械の破片に混じって
アホウみたいに嗤う蝸牛の殻を踏み拉くのか?
俺はこの都市に何百万年も堆積して
磁気浮上式リニアの高架の下に埋まっている
悪辣なヒトデの化石を掘り起こすと
無の戦術核を仕掛けて派手に爆破する
そうして月光をキラキラと反射しながら
永遠に干満を繰り返す海原に抱かれて
思い思いに裸体を翻す少年少女達と愛し合う
それが俺達の夏だ
血よりも凶暴な夏だ
にじみ出る汗と混ざり合って
頤から滴り落ちる椰子の果汁を手で拭うと
俺は自らに独り言を呟くことを
輝かしく禁止する




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