プロミネンス/壮佑
 

いつもすでに記憶だった夏の日に
俺は裸体を晒した少年少女達と
沖合を鳥が群がる海を見たかったが
だれひとり気付かぬうちに
海原を舐めて広がる火の言葉に焼かれた
熱気だけが渦巻く無音の嵐に
真夜中の街路樹の果実は金色に弾け
白昼の都市はあらゆる場所で錯乱した
見ろよ水平線を 待ち焦れた空を
天空の片隅に鳥達を追いやって
西から東へ視野いっぱいに
燃え上がる紅炎のアーチ
星々が何億年も語り継いできた
青白い水母のような蜃気楼を
無数の真っ赤な蛇の舌で
メラメラと焼き尽くすプロミネンス
あらゆる屍骸は透明なまま
氷の島弧に沿ってひび割れた海溝に深く沈む
きのうお前
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