谷川雁詩集 現代詩文庫を読む/葉leaf
では言葉はもはや無責任に発せられるものではありません。谷川は言葉を他人に対して届けるものとして扱っているので、言葉を他人に届けるにあたってその言葉の責任は谷川にしっかり帰属しているのです。閉ざされた空間の中で親密な「あなた」に囁くのではなく、広い空間から呼びかけ応えるべき「あなた」を見つけて、責任を持って積極的に関わっていくということ、谷川の詩の他者とのかかわりの相はその辺りにあります。
また、この詩には「都」「革命」「国」といった、社会的なモチーフが頻出しています。そしてそれらのモチーフは、例えば「なきはらすきこりの娘は/岩のピアノにむかい/新しい国のうたを立ちのぼらせよ」の部分からも分かる
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