一方井亜稀詩集『疾走光』について/葉leaf
 
ールが
つづくみちを歩きながら
ガードレールには
傷があることに気付く これは
こすったあとなのか かなしい
事故のあとなのか
骨を折ったり
内臓が腐ったり
するのはいやだな このときは
まだ ひふ の在り方を
軽視していた
       (「ぬりかえられてゆく、途上で」)

 このように、目に映るものを端的に描写し、それによって触発された心情をこれまた端的に描いていく、というのが彼女の基本的な詩作法である。ところで、このような記述は、歴史記述と似ていないだろうか。世の中で起こる一回きりの出来事を端的に記述し、何をどのくらい記述するかは記述者の主観によって左右される。そし
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