永遠の家/塩崎みあき
そばに
楡の木が一本立っている
家
土間があって
黒く艶めく
作り付けの引き戸には
朱塗りの器が
たくさん入っている
座敷は
全てが静寂
隅には
黒く溜まった空気
磨き上げられた
玄関の床は
静かにすまして
黒く深く
まひるの
陽を
吸収している
一歩
中へ入る人間は
すべてが
黒く染め上げられる
明るみの中で
にこやかだった
表情は
一瞬
消えて
家
へと
吸収されてゆく
宇宙に
放り出された
気持ちになる
漂流者
通信も途絶え
時間も消え
視界も閉ざされ
永遠だけが
そこに
のたりと
横たわり
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