【音】塩時計には音がない---三篇のオムニバス/るるりら
どれほど 泳いだろう
白いと感じていたのは黒だったのかもしれない
しらじらと しらんでいく空に
遠い海ほど しろい海
赤い鳥居が見えた時
心臓が 一発 波打った
水平線から朝日がのぼり
光の道が私を照らす
ヘリコプターの音がする
虫が鳴いている
船が挨拶の音を出す
いろとりどりの色が躍る 救急車が走る 観覧車が回る
わたしの耳が
ちゃんと
騒音も
とらえ はじめた
終らない音は
ひとつもない
音 それは命
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