さみしがり屋のオニ姫/ヨルノテガム
 


 女は金を余分に置いて よく眠れたわ と言い去った

 サヨナラの前
 女は 知らないわよ おバカな奴隷さんね と
 綺麗な高い声で言ってこちらをロクに見ず
 鏡の前で鬼化粧に余念がなかった

 あの細足の白さが お箸のように揃っているのが
 思い出される 普段、タマネギを見るたびに
 あれから ほんのひと月ふた月しか経っていないが

 私は闇間に少し狂いそうな顔模様をしていたに相違ない
 どうやってほとんど隙間なく足首に通したことか
 いっそ、足指か たまねぎリングをがじりと甘噛みして
 震え上がらせてやろうかと思案した
 しかし、到底できるはずなく
 女
[次のページ]
戻る   Point(1)