わたしは詩をつくれない/左屋百色
 
右から順に潰していった
君は正しかった
今、
散文を両手にかかえ歩く道は
瓦礫ひとつない
比喩なんてどこをさがしても
全くない
わたしはまだ詩をつくれない
これがこの町の素顔なのか
現実を叩きつけても
この町のコンクリートには
ヒビひとつ入らない
はね返りわたしの青に突き刺さるだけ
それでも
君と交わした言葉のどれかひとつが
風に乗り
どこかの町で
いつか現代詩になれば
それでいい

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