わたしは詩をつくれない/左屋百色
 
あの日、
そうです。あの日からわたしは詩をつ
くれなくなった。何も浮かばないので
闇が静かに明けてゆくのを待っていま
す。ほら、ありふれているだろ。君の
言葉は素晴らしい。必ず朝を呼びすべ
てを照らす。ほら、普通だろ。水色の
傘ひろげ悩んだふりをしている。ほら
、もう何も感じないだろ。今日もこの
町は君がくれた現代詩が燃えているか
らきれいなんだよ。わたし何度でもよ
み返すから。花を踏んで瓦礫も踏んで
背伸びして遠くの町を眺めたけれど君
の姿は本当にもう見えなかった。

あの日、
どんな青よりも
君のこころは圧倒的に青かった
この世の果てまで並んだ比喩を
右か
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