それからはこぐまのサーカスばかり見て暮らした/あおば
防災無線のスピーカーが
悲鳴のように繰り返していたが
突然呼びかけを中止した
私が眠くなったので窓を閉め
それ以上聞くのを止めたのだ
二重ガラスの窓は音を遮断する
たとえすぐ外を
雨に濡れ疲れ果てた
ツキノワグマの子供連れ
後生ですから
家の中に入れてくださいな
どんなに大声で叫んでも
防災無線の不明瞭な声ほどにも
私の耳には届かないのです
そんな情けない
半分意識が遠退く寝床に中へも
並四ラジオの
臨時ニュースの緊張した声
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