賛歌/壮佑
 

 ダダ漏れのDark Matter 鉛色の重力
街を歩いてもアスファルトに走る無数の亀裂
から滲み出てくる闇を見つめるだけだ

   ああ この皮膚がすべて剥がされても
  感じているか? 動いている 動いてい
   る 闇の中を 蠢く者がいる
  おう 耳孔でウラン弾が爆ぜようとも
   聴こえているか? 無限に遠く 無限
  に近い 闇の中で 囁く者がいる

 押し黙った孤独な獅子の心音を聴く
どこか森閑とした場所で赤ん坊がむずがって
いる

  夜の木立の奥の
  沈殿する闇の中に
  おまえは確かにいた

 跳べ、戦慄へ、永い微睡みの季節が終わり
[次のページ]
戻る   Point(17)