秋よ、秋の虫たちよ/吉岡ペペロ
 
夜中どれだけ風が強く吹いても

虫たちの鳴き声はやまなかった

不安にふるえながら

ぼくはそのことに感心していた

遠ざけられたらまたおかしくなる

なのに秋の虫たちはやまなかった


朝そとにでて町を嗅いだ

甘くて粗雑な匂いがした

こすれた緑の匂いだった


夜中どれだけ風が強く吹いても

虫たちの鳴き声はやまなかった

不安にふるえながら

ぼくはそのことに感心していた

遠ざけられたらまたおかしくなる

なのに秋の虫たちはやまなかった








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