雨中/霜天
 
空の下には雨中がある
大勢の僕らは包まれながら
漂うばかり
支えるものは見つからなくて
あちらこちらへ、くすぶりながら
時々にはぶつかったりする

足跡ばかりが目立つ夜は
いつだって水の部屋の中にいる
窓の中に空の
霞んだままの輪郭が
ぼやけた明かりに支えられている


雨中
繋ぐはずの手も見失ってしまう


水の部屋はいつまでも暮れないので
傘の閉じ方を忘れてしまう
ばら ばら ばら
響かせる音の範囲に
包まれて、閉じ込められて
手をそこへ差し伸べることも
ゆらと霞む景色の中へ

遠くなる


雨粒の届く距離
肩先からはねる滴
喉の奥から零れる言葉は
雨中
遮られて
届くようで
届かないようで
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