眠たいからだ/はるな
 
がきて、パンケーキが食べたいというので食べにいった。そびえるみたいにのせられたホイップクリームがテラス席でぐでぐでと溶けてゆくのは滑稽で、久しぶりにあった私たちのようだと思った。
なつかしいなと知人は言ったが、わたしはぜんぜんなつかしくはなかった。なつかしいのは一年半暮した明石の景色とそこにいたときの夫の表情だ。一年半前の夫にはもう会えないのだと思うとたまらない。知人はわたしに変わっていないねと言ったが変わるはずもない。変わるのはわたしではなくていつも土地や時間や意味でした。

臆面もなく、生きて。と、思います。パンケーキを食べたり、笑ったりして。そして夏や秋を過したりして。これから先も、と、考えてしまうことが、たまらなくこわいです。


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