「ガンバの大冒険」/板谷みきょう
 


困惑してしまっていたが
その姿が不恰好に思えたボクは
至極当然のように
「なぁんだ。それならそうと
最初から言ってくれてたなら
ボクにも覚悟ができてたのに。」
そう言って
一度、履いた靴を脱いで
再び彼女の部屋に上がり込み
彼女を抱こうと肉体を求めた

「そういう意味じゃない。」
彼女は拒み、そして
帰るように促してきた

ボクは、下衆な男のように
「だったらどうして欲しいんだよ。」と
吐き捨てるように言って
部屋を後にした

それが
彼女と会った最後だった
それから暫くして
彼女が嫁いだことを風の噂で知った

結局
何にも無かったのだけれども
あれから彼女とは会うこともない
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