「ガンバの大冒険」/板谷みきょう
当時、白石に住んでた保母さんと
絵本のことで随分と馬が合って
良く二人で素敵な絵本を見付け合っては
彼女の住むアパートに長居して
話し込んでいたものだ
まだ若かったこともあって
結構熱く語ることが多くなり
彼女はいつの間にか
聞き役に回ることが増えていった
ある日
彼女の元を訪れて夜も遅くなりかけ
玄関先で別れを告げると
「私の気持ちなんか
ちっとも、気付いてくれないのね。」
そう言われた
今まで、一人の女性だと思って
付き合っていなかったのだが
彼女の真剣な眼差しから
精一杯の告白の言葉だということが
伝わってきた
どうして良いものやら…
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