青黄黒緑赤/アラガイs
 
残された一羽のカモメ
通りすぎた波が胸の砂に縮む
また今日も陽の影が遠い空に薄く並ぶ

馬が呆れるくらいお人好しな人だった
父は心臓を患い二度も手術したが
、90才まで生きた
やさしい父だった
そんな親父に僕は何もしてやれなかった
年老いた母は親父をとっくに忘れているようだ
もっとも同じことを何度もくり返しては苛々させるのだから
いまでは人生のほとんどを忘れているには違いないのだろう

背負いきれるものは残された足跡だけで
深い静寂が一日一日と偲び寄る
汗を浴びた面影は山に並び
薄く色味を染めかえながら陽は翳る
今夜も虫たちの声が別れを惜しんでいる 。











※お題を借りて挑戦してみました 。
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