おじいちゃんの手/栗山透
した
いつもは
あっという間に切るシャッターは
なかなか押されず
やっと押したと思ってもマナカは
納得が出来ずに何度も撮影を繰り返した
マナカはファインダーを覗きながら
ぼろぼろ泣いていた
おばあちゃんは震える肩に
手を伸ばそうとしたが
マナカは「あと一枚だけ」
と言って撮影を続けた
タケルはそれを
少し離れたところで見ていた
マナカにはファインダー越しに
何かを感じ取る力があるのだ
とタケルはそのとき思った
結局マナカは満足した写真を
撮ることはできなかった
おばあちゃんが「疲れた」
と言ったからだ
マナカもぐったりとしていた
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