おじいちゃんの手/栗山透
*
時刻は朝の六時を
まわったところだった
ふたりはビルに囲われた
小さな噴水のある小さな公園で
撮影ポイントを探して歩いている
「青がよく映えるから
朝がいちばんいい時間帯なんだよ」
マナカは、ぼってりとした一眼カメラを
両手で持ちながら言った
ふたりの息は白く
街はまだ浅い眠りを続けていた
マナカは丈の長い
黒のコクーンコートを着て
肩まである髪をなびかせ歩いている
姉の後ろを少し遅れて歩きながら
タケルは「魔女みたいだ」と思った
風を受けて広がったコートは
高級なマントのように見える
マナカは立ち止まると
あっという間にシャ
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