水島英己「小さなものの眠り」を読んで 〜引用を生きる〜/中川達矢
うのか?
空と川はどこで出会うのか?
わからないままに、ただ流れている
「鶴ヶ島まで」
丘をのぼる。
つぼみの桜とメタセコイアの大きな樹。
信と不信とをからませて花粉が飛び交う春を生きる。
「成熟すること、崩壊すること」
こういったフレーズも印象的で、汽水域の発想と結びつく。二項対立や二元論によって定義づけられた二極にとどまることを拒む。すべてのことは、必ずしも結論づけられるものではなく、どちらの場所ともつかない、迷いの状態。そのようなネガティブのように感じられる迷いという場所を探し求める語り手。その語り手の姿からは、生の力を感じさせる。そして、かつて生であり今
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