東京ロマンポルノ/花形新次
駅裏の
薄汚れたビルに住んでいる男は
部屋の小さな窓から
ホームの人混みを見下ろし
赤いワンピースを探した
見つけたら旅に出よう
振り返ると
乱れたベッドの上には
見たこともない女が
寝ている
女は朝青龍に似ていた
酔いすぎていたでは
済まされない
神への冒涜
頭を抱え
膝から崩れ落ちたとき
「グヘヘヘヘッ」
女が突然笑った
カツ丼を食っている夢を見ていた
赤いワンピースはどうでもいい
すぐに旅に出よう
そして、しばらくの間
身を隠そう
鼾をかいて眠り続ける
朝青龍を苦々しく思いながら
男は静かに部屋のドアを開けた
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