つづき/木立 悟
目を閉じて
目を閉じる前に見た雪が
空へと戻るつづきを見る
白く小さな音を見る
雲の鳥がほどけて落ちて
土の上の鳥になるとき
すれちがう雪の言葉には
ほどける前のうたが混じる
つづきを見ようと
目を閉じても
もうつづきはつづかない
闇が白になることもなく
落ちる火が昇ることもない
白は白のままそのままに
闇のなかで微笑んでいる
雪の波を踏みしめて
鳥の集まる道を見る
夜は星が隠れるくらいに
ゆっくりうすく晴れてゆく
ひとつの鉛のまぶたを残し
雲は戻ることなく干いてゆく
目を閉じて
片方の目をあけて
半分の闇に降る雪を見る
白く小さなうたを見る
わずかにこぼれる光の行方
光のつづきを見つめている
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