Tシャツが濡れた夏/花形新次
Tシャツがゲリラ豪雨に濡れて
彼女のサクランボちゃんが
透けて見えた
彼女がよろけて
僕の腕にしがみついたとき
サクランボちゃんが二の腕に当たった
?!
確かにサクランボちゃんはピンピンに
立っていたんだよ
嘘じゃない
嘘じゃないんだ
僕を見上げて謝った
彼女の顔はほんのり
サクランボ色で
彼女のサクランボちゃんの色と同じだった
ずっと前のことだ
触れたい
と思っても
もう二度と触れられないもの
気持ちが通じあって初めて
触りがいがあるもの
僕は大切な瞬間を
逃してしまったんだ
彼女は今
アリサと名乗り
五反田で働いている
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