鳥人間コンテスト+2013?/和田カマリ
共食いを行なうに至った
つまり
肉食文化を守る為に
鳥人間は人にあらず
単においしい食物だと
自らに言い聞かせ
心を押さえつけたのである
鳥人間というからには
嘴があり
羽根がある姿を想像され易いのだが
外見は普通の人間と何ら変わりが無い
ただその肉がとてもジューシィで柔らかいだけなのだ
それらは侮蔑を込めて「チクン」と呼ばれていた
人の姿はしているものの魂の抜け殻
完全に呆けているのだ
なぜならば食肉用であるそれらに
高度な知能など全く不必要なので
脳の発達は極力押さえつけられていた
チクンは誕生するや否や
額に「肉」という電子スタンプを押され
薄暗い鳥人間牧場に連行され
日夜、筋繊維を増強させ脳を萎縮させる
あわ・ひえ・きびなどの
遺伝子操作の行なわれた五穀を与えられた
満腹になると雄雌問わず
呆けたように性交をし
残りの時間は惰眠を貪っていた
しんちゃんもそんなチクンの一匹であった
続く
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