観念はあっという間に古びては消えてゆくものだ/ホロウ・シカエルボク
 




真っ逆さまに上昇する夢で果てた転寝は
鼠色の夜更けを窓のそばに連れてきた
手のひらが釘を打ちつけられたように痛むので
ゴルゴダの丘に呪詛を吹きかけた
尖がった唇には幼い頃に別れた友達の死体がぶら下がっていて
それはパラボラアンテナのように横に拓かれていた
世界中のマイナスがそこに流れ込んでくる
なにもそこまでというくらいに刺されて死んだ若い女の泣声や
痴呆の果てまで行って死んだ老人の行先の無い足音
いつのものか判らない頭蓋骨の楕円的な転がり
果てしの無い死が荒れ果てた土地を思わせるのは何故だろう
亡霊たちはふわりと適当に浮き上がり

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