若く、美しい男/うめバア
 
かれるように生きていくの
それが男の運命
年を取って、美しさが去ってしまうまで

だれかに似てるかって?
たとえばあたしの昔のひとに?
ううん、そうじゃない。
そんなんじゃないの、あたしが言いたかったのは
ただ男はとても若く、美しかったってことだけ
そしてたとえようもなく、孤独だった
この世のすべてをばかにし、浪費してもなお独り

雨が、しずかに、しずかに、男を抱きとめて
一緒に泣いていた。
私は暗がりの中、しばらく彼を見つめ
そしてカーテンを閉めた
これがあたしの見たもののすべて
それから一度も、男をあの外灯の下で見たことはない

若く、美しい男
それはあの、6月27日の雨の夜の
数秒の、詩みたいなもの。



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