半身壊れた野郎、ブン回せ言葉の鞭/ホロウ・シカエルボク
 
菌室の中で…あの時きっと俺の中でなにかが起こっていたのだ、俺の魂を決定づけるような、なにかが…病気をしなくなったと思ったらすぐに目が悪くなった、当時よく読んでいた絵本がすっかりぼやけて見えなくなった瞬間をありありと思い出せる、眼鏡を掛け始めたのは小学校に上がる少し前だった、確かそうだ、それから鼻がおかしかった、しょっちゅう耳鼻科に連れて行かれて、繭のような形の洗面器を持たされ、鼻にホースを突っ込まれて、鼻腔を洗浄された、嫌で嫌で仕方がなかった、だけどどうしようもなかった、蓄膿症というやつだった、そういえばいつの間にか耳鼻科には行かなくなった、もういいと医者が言ったのか、それとも母親がそう思ったのか
[次のページ]
戻る   Point(1)