ふたり/AquArium
 
何度描いた場所だろう
震えて息が詰まりそうな
ドアの前
ここで最後に見た景色が
フラッシュバック
一瞬だけ目を、閉じた

何食わぬ顔で
キッチンに立つ背を
瞬きもできずに見つめながら
部屋中の空気を吸い込み
配置の変わったソファーで
息を、吐いた

知らない時間が
どれだけ流れていたのか
共有できなかった大事なことを
ひとつずつ
ひとつずつ
紡いでいく

あたしの心の奥にある
ほんの少しの尖った部分に
届くのを躊躇っているような
核心の束たち
些細な言葉尻にさえ
神経が、鳴いていた

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

どうした
[次のページ]
戻る   Point(2)