小指/
栗山透
はりきって出かけた わたしは
きゅっと胸をはって歩いた
つぎつぎと 景色を変える町
太陽はいま 一番高い場所に
バターナイフを持つ母の指
コーヒーカップを持つ父の指
立ち止まって自分の指を見る
細長くて小指だけ 奇妙に 短い
しぼんでしまった祖母の手を思い出した
かつてのやわらかさを失くした小さな手
細長くて小指だけ 奇妙に 短い
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