誕生日/梓ゆい
 
ふんわりと甘いケーキの向こう側に

笑顔が見える。

おめでとうの一言と拍手で

喜びを感じ取る小さな手は

一つ二つと繋がってゆく。

(幸せなひとときを感じて、

ほおばるケーキだけは癒しでありますように。)

四方を囲まれた東京では

鳥かごに入ることも出来ないけれども

小さな手は次々と

繋がりと絆を手繰り寄せて

深海の中に身を沈めてゆく・・・・。

「袂の時計は、今何時なのだろうか?」

こつん・こつん・こつんと

ぶつかり合いながら

形作られたものたちは穴という穴をつたい

身体中に入り込んでゆく。

小さな手よ・小さな笑顔よ

「穢れ無き思いを、掃除機に変えて

跡形も無く吸い尽くしてはくれまいか?」
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