それでも夢は(改作)/永乃ゆち
それでも夢は叶うと言い切れますか?
夏の暑さは嫌いだ。
ジリジリと肌を焼く。
けれど冬の寒さはもっと嫌いだ。
ジンジンと肌を刺す。
あの人は夏の暑さのように
冬の寒さのように
素知らぬ顔で私を傷つける。
優しくしない事が優しさなんだと
私は自分を納得させる。
そうやって五年が過ぎた。私とあの人の関係は変わらない。
手の届かない人。焦がれてはいけない人。
あの人は上手に息継ぎのできない私に
「諦めないで」と言う。
そして自分の人生に絶望する私に
「夢はきっと叶うよ」と言う。
冗談じゃない。大抵の人は夢を諦めざ
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