夕暮れどき/灰泥軽茶
夕暮れどき
路地をバイクで走りながら
眠気を誘う
ちょうどよい風にゆられながら
家屋やマンションから漏れてくる生活音や話し声
屋根や電信柱の隙間から覗く空に
うとうとしながら呆けて
十字路を抜けようと左を向くと
小さな子供が家の前で
スーパーのビニール袋を膨らまして
顔を入れてこちらを覗いている
サイドミラーに光が鈍く乱反射すると
子供は嬉しそうな声をあげ
身体をくねくねビニール袋に収まってゆき
宙を踊りながらゆっくり浮遊して
こちらに向かってきたので
右を向き町がひっそりしているのを確認すると
直進し加速して路地を抜けていった
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