隔たる距離/塩崎みあき
 
葬儀はしめやかに行われた

なんだかいいのかどうかよく分からなかったけれど

晩に酒を飲んだ

こめかみの辺りで、血液が

じゅんじゅんと流れる音を聞いた

こめかみに手をあてて

皮膚と血管の距離を測った

触覚は酔いで非常に鈍っているけれど

それはとても近くて

とてもおかすことの出来ない距離のようだった

なんと

私は生きていた

私と血管を隔たる距離に生かされ

それはすなわち

奇蹟のようにも思えた

それはすなわち

いま現在

私と

ココにいるかもしれない

あなたとを隔たる距離にも似ていた
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