宝箱/ストーリーテラー
 
真っ昼間は絶望的な広がりと
胸くそ悪い光の匂いで
私を牢屋に閉じ込める
『生きるとは呼吸することではないよ』
というルソーおじさんの鎖は揺るがず
うつろな目とカビだらけの世界で私は作業を続ける
確かに空は見えるのだけど
雲は意味も希望もぜんぶ落っことして
しまった、という顔さえできない
傷ついた意味や希望は多分血まみれになって
あちこちを汚している
『ねえ、生きるってことは集めることなの』
と尋ねると、おじさんは黙ってしまって
かわりに気障な太陽が
『まわりの人を見てごらん』だって
それならいっそ失明したほうがマシだと思うよ

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