午睡/破片(はへん)
 


あさのやみにたゆたうことば、なみたつおもてにささやきをのこして、うっすらとたなびくあついかぜがめのまえにあらわれる、いのちのうしなわれたさいはてのほとり、たえまなくゆれながらほどかれていく言葉。

たらん、と。
無作為に鳴らされ続ける音を運ぶ。陽だまりの中で暖かく熱せられた音。
音を生み出すための弦。弦が震えるための風が、開け放たれた窓から、星
をも砕く熱い風が、やってくる。誰にもわからない真空に浮かんでいた塵
は、遥かな時間を経て庭先へと着地する。たらん、と。鍵盤がゆびさきを
求めない、つながりが、絶えない。
弾き手の姿がない。音階は上がり、下がり、ときに跳躍する。弾き手
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